自筆遺言・秘密遺言・公正証書遺言
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは,遺言者が,作成した遺言書の全文,日付及び氏名を自書し,これに押印することによって作成するという方式の遺言です(民法968条1項)。
- 遺言者が自筆で遺言書の全文を作成すること
- 遺言者が作成した遺言書に作成日付と遺言者の氏名を自書すること
- 遺言書に遺言者が押印すること(実印である必要はありません)
以上の要件を満たした遺言書が自筆証書遺言として認められます。
遺言書が複数ある場合には日付が新しいものが優先されます。
証人も不要なので、遺言を秘密にできます。
自分自身で作成すれば費用もかかりませんが、方式不備等により無効となるケースが多いのも事実です。
また、遺言書として認められるためにはか家庭裁判所での検認手続き(約2ヶ月)が必要となりますので、相続人の負担が増えるといった事実もあります。
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは,2人以上の証人の立ち合いのもとに,遺言者が公証人に対して遺言の内容を口授し,公証人がそれを筆記して遺言書を作成し,遺言者と証人がその筆記を確認してそれが正しいことを確認して承認した上で各自署名押印し,公証人が法律に従って作成した旨を記述して署名押印するという遺言作成の方式です(民法969条)。
本人が口述し、公証人が筆記します。
印鑑証明書・身元確認の資料・相続人等の戸籍謄本、登記簿謄本が必要になります。
偽造される危険性は極めて少なく、証拠能力も高いですが、作成手続きが煩雑になりやすい・遺言を秘密にできない・費用がかかる等のデメリットがあります。
また、証人は2人以上の立会いが必要となります。検認手続きは不要です。
秘密証書遺言とは
秘密証書遺言とは,遺言者が遺言証書を作成して,それに署名・押印した上でそれを封書に封じ,この封書を遺言証書に押印したのと同じ印鑑で封印し,この封書を公証人と2人以上の証人に提出して自分の遺言書であることと氏名および住所を申述し,公証人が,その封書に日付と遺言者の申述を記載した上で,遺言者・公証人・承認がそれぞれ署名押印するという遺言作成の方式です(民法970条1項)。
本人が作成した遺言書に署名捺印をして遺言書を封じます。
その際に、遺言書に使用したものと同じ印で封印をします。
公証人にこの遺言書は遺言者のものであるという確認を封筒に署名してもらう方法です。
遺言書の存在が明確であり、偽造の危険性は極めて低くなります。
また、遺言の内容も秘密にすることができます。
デメリットとしては作成の手続きが煩雑になりやすいことや費用がかかってしまうことが挙げられます。
公正証書遺言の確実さ、自筆証書遺言の簡便さと比べると、あまりメリットを感じにくい方式のため実際にほとんど利用されていないのが現状です。